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12/6/13
書籍「社労士が見つけた!(本当は怖い)採用・労働契約の失敗事例55」6/13発売しました。
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書籍「社労士が見つけた(本当は怖い)解雇・退職・休職実務の失敗事例55」3/28発売しました。
11/12/21
書籍「税理士が見つけた!(本当は怖い)事業承継の失敗事例33」12/21発売しました。
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書籍「公認会計士が見つけた!(本当は怖い)グループ法人税務の失敗事例55」発売しました。

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西洋古典語典

西洋古典語典

西洋古典語典

著者
渡辺紳一郎
発行
昭和31年(1956年)
装幀・挿絵
横山泰三
著者
プロフィール
明治33年3月16日生まれ。杉靖三郎の兄。大正13年東京朝日新聞社に入社。パリ支局長,ストックホルム支局長を歴任。戦後は海外の豊富な経験をかわれ,NHKのクイズ番組「話の泉」や「私の秘密」のレギュラー解答者として活躍,口ひげと博学で人気をあつめた。昭和53年12月22日死去。78歳。東京出身。

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サムソンの髪

 サムソンの髪
 The hair of Samson.(E)
 旧約聖書に出てくるユダヤの豪傑。彼の怪力のよつて来るところは頭の髪であつて、これを失うと、抜山蓋世の力もなくなつてしまう。だから、彼は頭の髪を大切にして、切つたり剃つたりは決してしなかつた。で、床屋嫌いで、髪を、ぼうぼう生やした、むさくるしい男を「サムソン」という。
 旧約の「士師記」第十三章から十六章までにある怪力の豪傑で士師のひとり。士師を「判きの司」と和訳しているが、英語で judge それなら、裁判官のことである。しかし、士師とは、一種の酋長と考えれば、よかろう。
 その頃のイスラエルはペリシテ人 Philistines の属国であつた。サムソンはギリシャの豪傑ヘラクレスと同一系統の伝説とも考える学者があるくらいによく似ていて、ライオンを手づかみで殺したりする。占領されているイスラエル人として盛んにレジスタンスをやる、武器を持つことを許されないので、驢馬の顎の骨を拾い、それでペリシテ人を一千人も撲り殺す。大食いすることを「サムソンの武器を揮う」というのは、顎の骨を大いに働かせるという意味である。山犬三百匹を捉えて、二匹ずつ尻尾と尻尾を結び、その間に燈火を付けて、ペリシテ人の畑に放す、これから取り入れようとする実つて乾いた麦を焼いてしまう。なにしろ神から授かつた何千人力あるか底知れぬ力なので、ベリシテ人も持てあます。
 英雄は色を好むという例えにもれない。男性的ホルモンとエネルギーが有りあまつているから英雄なのでもあろうか。サムリンはソレク Sorek という谷に住むデリラ Delilah という(ダリラ Dalila ともいう)女を愛する。
 ペリシテ人の役人たちはデリラに頼み、銀千百枚の成功謝礼を約束し、色仕掛で、サムソンの怪力の、よつて来たるところを探らせる。いくら美人のデリラが持ちかけても、サムソンは、なかなか秘密を喋らない。デリラがヒステリーを装つて「あんたは水くさい、愛するなどというのは口先だけでしよう」と毎日やるので、豪傑とうとう本音を吐いて、髪の毛の秘密を打ちあける。