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12/6/13
書籍「社労士が見つけた!(本当は怖い)採用・労働契約の失敗事例55」6/13発売しました。
12/3/28
書籍「社労士が見つけた(本当は怖い)解雇・退職・休職実務の失敗事例55」3/28発売しました。
11/12/21
書籍「税理士が見つけた!(本当は怖い)事業承継の失敗事例33」12/21発売しました。
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書籍「公認会計士が見つけた!(本当は怖い)グループ法人税務の失敗事例55」発売しました。

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西洋古典語典

西洋古典語典

西洋古典語典

著者
渡辺紳一郎
発行
昭和31年(1956年)
装幀・挿絵
横山泰三
著者
プロフィール
明治33年3月16日生まれ。杉靖三郎の兄。大正13年東京朝日新聞社に入社。パリ支局長,ストックホルム支局長を歴任。戦後は海外の豊富な経験をかわれ,NHKのクイズ番組「話の泉」や「私の秘密」のレギュラー解答者として活躍,口ひげと博学で人気をあつめた。昭和53年12月22日死去。78歳。東京出身。

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アキレス腱

 アキレス腱
 Tendon Achillis.(L)
 テンドン・アキリス
 現代でも医者の国際的術語はラテン語である。(音楽家の国際的術語はイタリャ語である)
 ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩「イリアッド」すなわちギリシャが小アジアのトロイを攻めた物語の中の英雄がアキレス Achilles (ギリシャ語ではアキレウス)である。
 彼の父はミルミドン Mirmidon 人の王(といつても大酋長)ぺレウス Peleus であるが、母親は人間ではなくテティス Thetis といつて、女神の位の低いもの。
 テティスは息子が生れるとすぐ、両手で赤ん坊の両脚を持つて、逆さまに釣りさげ、スティクス Styx という地獄へ行く三途の川みたいな川の水に、頭から先に全身を漬けた。それで、アキレスは不死身となつた。ただ、彼の両方の踵の上のところは母親の手に持たれたため水に漬からなかつたので、そこだけが彼の急所であつた。後にトロイ征伐のとき、敵の王子パリスの放つた矢が、踵にあたり、アキレスは戦死する。医学で、踵の上にある腱を「アキレス腱」と呼んでいる。
 強い人間、丈夫な要塞、堅固な組織などで、ちよつと気が付かない、小さくはあるが、しかも、それが致命的な弱点であるという場合に「アキレスの踵」 Heel of Achilles という。
 これに似た話が、ゲルマン民族の伝統的英雄ジーグフリード Siegfried である。ジーグフリードは悪竜を退治する、竜の血が溢れて池となる。彼はその血の池の中で泳ぐと不死身となった。その時、木の葉が一枚散つて来て、彼の肩に止まつて、へばりついた。それで、彼の肩には木の葉の型の弱点があり、ここだけが急所。後に、やはり、ジーグフリードも、肩をやられて死んだ。
  「アキレスの踵」と「ジーグフリードの肩」とは、ほとんど同じ意味である。
 また、アキレスの部下として出征したのがミルミドン人であるが、現代の西洋では、親分やボスの言いなりに無法なことをする手下共のことである。政治的のボスに仕える部下のことで、命令どおりに動く、生きてるロボットであつて、仕事に当つて人情などという個人的感情を持ち合わせない人間の群をミルミドンという。西洋で戦争中に、「日本軍のミルミドン」と呼んだのは、日本の憲兵のことであつた。